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水面下

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ザザキ×ケタル(※R18)

ご都合設定があります。人によっては受け付けない可能性があるので読んでて駄目になったら引き返してください。

番の使命

この世には、子孫を残すために2個体となっている生物の存在が多くある。2個体で生殖をする必要がない生物ももちろんあるが、有性生殖を軸とした獣達は性行為を行い子を作り、血を残す本能を宿していた。
しかし運命というものは時に残酷なことがある。
2個体のうち片方が消えてしまうと子孫を作れず、同種の血が絶えてしまうことだ。そうして絶滅していった生き物達は何千、何万年の間にどれくらい存在しただろうか。
生き残れるのはそんな環境を乗り越え、耐え、進化し、血を繋いできた存在ばかりだった。
魔物と、人間と、エルフと、獣人もまた、そんな進化を繰り返してきた四大種族だ。彼らが主に仕切っているこの世の中で、戦争以外で種が滅びるとすれば種が残せないという理由だろう。
そんな世の理の中、獣人族のうちウルフ族の一部でも雌の個体がなかなか生まれないことで将来の絶滅を危惧する状態に陥っていた。
現時点ではまだそんな心配はいらない数ではあるが、雄の個体が雌の数を上回っている限りは雌が雄を相手にする数も、産める子の数も限界があった。これが逆の数であれば、むしろ一夫多妻のように子種をばら蒔けたというものだ。

先々代より危惧されていたこの問題は、しかし先代の手により解決の道を作られた。その方法は悪く言えば神に背く禁忌にも近い行為である。
そのため積極的には行わず、あくまでその禁忌を伝えた上で子孫繁栄に協力する者にのみそれは行われた。

そして、ジョウエン王は今まさにその禁忌の魔法を使用するために、本当にそれを望むのかの最終回答を求めた。


「ケタル……俺がこの術を使うのは初めてだ、……これが本当に成功するとも限らない。もしかすると、お前の体を壊す可能性もある、それでも──」
「王……ジョウエン、何度も同じことを言わせるな」

獣人族の村から離れた森の奥、我らが神を祀り讃えた祠の中で薄暗い闇に灯された光が、ジョウエン王の大きな影を揺らす。
王の前に跪いたケタルは顔を持ち上げ、心配を寄せるジョウエンに向けて苦い笑みを向けた。

「俺が、良いと言った」
「だが、お前達はそのままでも…。これからの雌雄に任せることもできるんだぞ」
「……これが成功するなら、種のためになるなら、構わない」
「だとよ。さっさとやれよジョウエン」

昔からの仲だからこそ心配を繰り返し向けてくるジョウエンに痺れを切らしたのか、とうの昔に跪くことに飽きてしまったザザキがケタルの隣であぐらをかいて座りながら、王に向かってククッと笑い掛けた。

「ザザキ……お前は少しも躊躇わないな」
「ハッ……躊躇う理由なんてどこにある。テメーとコイツがそんなことでへこたれるとは思ってねーからな」
「だとさ。……だから、良いんだ」
「二人とも……。わかった、失敗したら俺を恨んでも良いからな」

ザザキとケタルに「だれが恨むんだよ」と返され意思の強さを受けとめたジョウエンは、やれやれと困った笑みを浮かべた。
それからジョウエンはケタルに特殊な魔法薬で紋様を書き込み、魔方陣で囲み、ザザキが見守る中、今は王にしか扱うことを許されない、禁忌と言っても良いであろう呪文を唱え始めた。
魔方陣がキンッと光を散らすと、電流がケタルの身体に蛇のように巻き付いた。
そして祠の中からは身体の細胞が暴走するような痛みに叫び、吼えるケタルの声が響き渡ることになった。









暖かい毛布のぬくもりに抱かれる中、涼しい風が肌を撫でる。
頭部に位置する獣の耳をピクリと震えさせ、んん…と呻き声を溢したケタルが重たい身体をゆっくりと起き上がらせた。
辺りを見回すと、あたたかい灯火を放つランプがゆらゆらと暗い室内を照らしていた。外に見える景色はまだ暗闇に包まれていて、今が何時なのかもわからなかった。
意識を手放す前には既に陽は落ちていたから、そこまで時間はたっていないはずだった。

「やっと起きたかよ」
「……ザザキ」

起き上がったケタルのすぐ隣には、寄り添うようにザザキが眠っていた。今まで彼と密着していたであろう熱い肌が、冷たい風に触れてぶるりとケタルが身を震わせれば、その体の節々に痛みを感じた。
痛みを感じる箇所や首元を擦るとそこには、ザザキに噛まれたり掴まれたり、爪をたてられた痕がくっきりと残っており、今までの情事を物語っているようだった。
ケタルは少々、苦悶な表情になりながら、鈍い痛みを特に伴っていた場所へと手を伸ばすと、そこからは内臓に収まりきらなかったのであろう、白濁が後孔からじっとりと溢れているのがわかった。
掬い上げ人差し指と中指に絡んだ体液を親指で擦れば、離れた指の間には白い糸が引いた。

「オマエ……容赦ないな」
「くははっ大していつもと変わんねーだろ」

力を抜けば自分の中から溢れ出そうなほどの精液を己の中で感じながら、ケタルはザザキに向かって呆れた眼差しを向ければ、ザザキは満更でもない様子でいつもの自信満々な声で笑った。
思い返す記憶の中、壊れそうなものを触るように戸惑いの色を浮かべていた夕刻時のザザキの様子と比べると、どうやら何も問題がない自分の具合を見て安心しきったようだった。
夕刻、その前の身体の激痛と比べれば、だいぶ今はマシになった。



あの儀式の際、ジョウエンの術により身を焼かれるような激痛に襲われ悶絶を繰り返したケタルは、気が遠くなりそうな意識の中で確実に自分の身体が組み替えられていくのを感じていた。
術が終わる頃には激しい痛みで一度嘔吐したが、術の完了と同時に血相を変えて駆け寄ったザザキに抱えられたことで微かに痛みと苦しい気持ちが和らいだ。
ジョウエンはザザキとケタルの側に遅れて駆け寄ると、ケタルの安否を確認し、今のところ何も問題がなさそうな様子に少し涙を浮かべながら、安堵の表情を見せた。
そしてジョウエンは、ケタルの頭を撫でながら「少しだけ休んでいろ」と気持ちを和らがせた後、ザザキに色々難しいことを説明しているようだった。
果たしてザザキにそれが理解できるのだろうかとケタルは思ったが、真面目に聞いているザザキの横顔を見て妙に安心して、眠りに落ちることを選んだのを覚えている。


次に目覚めた時、ケタルを襲ったのは身体の激痛だった。
目覚めたケタルが痛みで苦しむ姿に気づいたザザキは、喉を己の爪で掻き切ろうとしたケタルを取り押さえ、本人の代わりに首筋に噛み付いた。
痛みにより本能で暴れていた中、噛み切られるという感覚に理性がバチリと火花を散らし、ケタルの意識を呼び戻した。
そして首元で噛み付きながらフーッフーッと息を荒げているザザキが視界に入り、ケタルは痛みに堪えながらザザキの頭を優しく撫でた。

「……ザザキ、大丈夫か……?」
「……それは、こっちのセリフだっつーの。……なんともねーのか」

痛みに耐えながら、すり、と頭を擦り寄せると、それに気づいたザザキが牙を離し、ケタルの顔色を伺うように覗き込んだ。
その見つめてくる金色の瞳は動揺に揺れ、滅多に見せない不安を抱えているようだった。こんなザザキは珍しいと感じながら、身を案じてくる声にケタルはうっすら笑いかけるも、痛みに勝てるわけがなく苦悶に顔を歪ませた。

「身体の中が、熱くて痛い…焼けるみたいに……内臓が唸ってる……」
「ジョウエンが、暫くは痛みが続くとかなんとか、言ってはいたな……」
「そこ、大事だろ馬鹿………、っ……マジでいてぇ……」

はぁっと痛みを吐き出すようにケタルが深呼吸を繰り返す。
ザザキがその様子を躊躇いながら見守り、何かを言いたげに口ごもると、ケタルの震える手の指と自分の手の指を絡めた。
そして気を紛らわせるように額に、目尻に、頬にキスを落としながらザザキはそのまま無言で次にケタルの唇に舌を這わせた。
応えるように唇を開けばザザキが舌を滑り込ませてきて口内をなぞり、ケタルの舌を捉えて絡めた。先になぞられた口内がくすぐったくて、痒みを取り除こうと舌を動かせば、ザザキが舌を追いかけてくる。
何度か舌を絡め合うと互いの唾液が口内に広がり、組み敷かれているため自然と喉に流れてくる唾液をケタルは反射で飲み込む。すると儀式の後から何も水分を得ていなかった渇ききった喉に熱が流れ込み、それを皮切りに余計に水分を欲してしまったケタルはザザキにもっと寄越せと貪った。
そのたびに、お互いのくぐもった吐息が漏れて、気がつけば微かな水音と呼吸音に聴覚が支配されていった。
舌がぴりぴりとしはじめてきて二人がようやく唇を離すと、名残惜しそうに糸が引いた。重力に負けて切れ落ちる唾液を見ながら、ザザキもケタルもごくりと喉を鳴らす。

「ザザキ……喉、渇い……んっ……」
「うるせ……オレ様の体液でも飲んでろ」
「足りるかよ……!」

繰り返された口付けに身体が熱くなり、余計に喉がカラカラしはじめたケタルは水分を求めるも、ザザキも興奮しはじめたのかそんなモンは知らないとばかりにケタルの唇を啄んだ。
しかしそれでも、苦しそうにしているケタルを見ればザザキが近くにあったコップに溜めていた水を口に含み、口移しでケタルの喉を潤わせていく。直接寄越せよと言いたかったが、しっかりと欲情を煽られたケタルは、このやりとりでうっすらと痛みが紛らわされていることもわかっていたため、大人しく受け入れた。

それから、ザザキは指を絡めていない空いてる方の手で、ケタルの衣服の隙間から胸の突起を撫で、ぐりぐりとこねながら摘まんだり爪を立てたりして刺激を与える。指からの刺激は今度は舌に代わり、ケタルの突起を口に含み舌で転がしたり、ちゅっと吸い上げたりしてやれば短い呼吸でケタルが喘いだ。
再び暇になってしまってザザキの掌は、胸を伝い脇腹や腹筋を掌でなぞっていき、そして徐々に勃ち上がり始めていたケタルの熱を衣服の上からゆっくりと覆い上下に擦った。

「ッあ、い、……ッッ!!痛い……っ!!」

するとケタルは得たいの知れない電撃のような快楽と、下半身に響く痛みを同時に感じて苦悶の表情を浮かべた。
触れられて確かに気持ちいいのに、同時に内臓がじくじくと熱をもって鈍い痛みを放つのだ。その自分の身体の矛盾にケタルは困惑したが、それがなんなのかも理解していたし、だからこそどうしたらいいのかわからなかった。

「チッ……我慢してろ、そんくらい耐えられンだろ……」
「……っふ、ぅ……何、す……」
「テメーの痛み取り除く手っ取り早い方法、これしかねーんだよ」
「な、ん、あ、ああっ!嫌だ、いっ……ザザキ……!!」

下半身の熱が疼くと同時に引き起こされる内臓の痛みと熱の快楽にケタルはただ、どちらの生理現象かわからない涙を溢した。
突き放してしまえばいっそ楽なのだが、ザザキの物言いには恐らくジョウエンから聞いた何かしらの緩和方法があるのだと察し、ケタルはそれを鵜呑みにするしかなかった。
やがて反り立つ熱を解放させようと、ザザキはケタルのズボンを下げつつ剥ぎ取っていく。露になったペニスは既に苦しそうで熱量を増しており、ザザキがケタルを直に触り擦るとびくりと腰を跳ねさせた。
痛みと気持ちよさが入り交じり困惑しているケタルに興奮しはじめたザザキは己の熱にも耐えかねたのか、自分のズボンをずり下ろしてケタルのものより大きいペニスを露にさせたかと思えば、ケタルの手を引き自分のものを掴ませる。

「おい……オレ様のも触れ」
「……っ」

そんな余裕ないと言う顔をしながらも、ケタルは言われるがままにザザキの熱を呼び起こさせる。既に半分は勃っているがケタルが必死に擦ればそれは倍に形を増していった。
その雄々しい形はいつも見ているはずなのに、受け入れているはずなのに、いつもにも増してケタルの性欲を駆り立てた。それが早く欲しいと、愛しそうに掌で形をなぞるように撫でればザザキは息を荒げながらケタルを見てニヤリと笑んだ。
まるで心を見透かされたようだった。
ザザキが達していない竿から手を離すと、寝床に転がっていた潤滑油の瓶を掴み取った。蓋を開けると三本の指先を突っ込み掬い上げ、指を動かして指全体に馴染ませる。
そしてその様子を眺めていたケタルと目が合うと、これが欲しかったんだろと言わんばかりにザザキの瞳が弧を描いた。

「身体は痛ェとは思うけど……力抜いてろよ」
「い……ッッ!~~~~ッ!!」

ザザキはケタルの後孔に中指を宛がうとズブリと中へ押し進め、間髪いれずに指を抜き差しして、慣れた手つきで入り口を解し始める。
その感覚にケタルは背筋を反らし、今まで何度も何度も受け入れてきた行為なはずなのにいつもと違う感覚と相変わらずの鈍痛にぞわぞわと背を粟立たせた。
本来そんな性行為の機能を持たない臓器が、まるで性感帯にでもなってしまったかのようにザザキの指先から与えられる刺激を追ってしまう。
いつもより柔軟な動きをする後孔に気を良くしたザザキはそのまま一度に二本目、三本目と指を増やし内壁をバラバラに指先で触れながら中を探った。
そして前立腺を見つけ、いつものように指の腹を押し付けぐりぐりと強弱つけて擦ればケタルから悲鳴が上がった。

「あ、ああッ!!く……!!い、やだ!ザザキ……!!あ、あ、痛い、のに……っ」
「ハッ……きもちイイんだろ?もっと味わえよ」
「やだ、あ、あ、あああっ!」

確かにズキズキと焼ける痛みは起きているはずなのに、ケタルの内部は同時にズクズクとした今までにない内から沸き上がる快楽に犯され、痛いのに気持ちいいという矛盾に脳が混乱した。
後孔を三本の指で抜き差しする度、潤滑油がぐちゅりぐちゅりと音をたてる。
指だけで得体の知れない快楽に襲われて、ケタルはこのあと侵入してくるザザキの男根が恐ろしくなり、しかし期待もしてしまった。
ある程度解せてくるとザザキは指を引き抜き、もう一度潤滑油の瓶に指を突っ込むと熱で張り詰めた己の男根にぬらぬらと纏わせた。テカりを得た大きなザザキのペニスはいつ見ても凶暴なほどで、最初の頃は怖じ気付いていたケタルも今では反り立つ姿に生唾を飲み込んでしまうほど、身体にそのカタチを叩き込まれてしまった。
その姿を後孔に宛がわれた時、ザザキは深呼吸しながらケタルにひとつキスをし、自分の唇を舐めてから「舌、噛み切んなよ」と呟いたと同時にケタルの後孔に宛てていた己をめりめりと押し込めていった。

「~~~ッ!!!っぐ、あ、ああああッッ!!」
「……ッ!!」

いつもの快楽ではない、悲痛の痛みを叫び力を込めてしまうケタルにザザキは腰を進めるのを止めそうになるが、そんな身を案じている場合で無いと舌打ちをしてケタルの内部へとなんとか熱を押し込める。
ケタルが舌を噛み切らないようにザザキは唇を再び重ね、歯をこじ開けて舌を絡めると一瞬ケタルの力が緩んだため、見計らってぐりぐりと全てを納めていった。
はっはっと息切れをして涙を流しているケタルを落ち着かせるため、目尻の涙や、粒となり肌を伝う汗を舐めながらザザキはケタルの腕を掴み自分の背に回させてやると、耳元で「掴まってろ」と囁き、それからゆっくりと腰を動かした。

「う、あ……ッああっ!!ん、んう……っザザ、キ、つら……」
「もすこし……我慢してろ……!」
「ん、んあっ……あ、ザザキ、ぃ……!」

焼けるように痛く熱い内壁をザザキのペニスが擦り上げる感触が、ケタルの脳にも腰にもビリビリと響き渡る。しかし擦られる度にじわじわと自分の体内が熱を持ち始め、ザザキとケタルの熱により温かくなった潤滑油と、ザザキの先端から溢れ始めているのだろう先走りの液がぐぽりと腸内で音を弾かせるのを己の中で感じ、ケタルは確実に痛みを忘れそうになるほどの快楽を追い求め始めた。
ザザキの背に回した腕も、立てていた爪が次第に緩み、指の腹で大きな背中を愛しく撫でた。

「はァッ……は……ザザキ……もっと……奥、に……ッ……痛い……もっと……」
「くはっ……痛いのまで良くなってきたのか?」
「ちが、でも……っ痛みが、消え…あっああッッ!!」

欲しいと求められて、黙っているザザキではなかった。
ケタルの様子に痛みが治まり始めているのを確信して、抑えていた欲を吐き出すようにザザキはケタルの奥をズンッと激しく突いた後、後孔まで引き抜きまた奥まで貫き、そして何度か律動を繰り返した。
急ぐように焦るようにザザキはケタルの内部に、前立腺に熱を擦り付ける。そのたびにケタルからは甘い声が耐えず漏れた。

「あァッッ!や、あ、ああっザザキ、はげし、ああっ、……ッ!」
「ケタル……っいっかい、出すぞッ……!!」
「んう、あッ、あ、アアッーー~~ッッ!!」

ザザキの体がビクリと跳ね小刻みに震えたかと思うと、汗が肌にぽたりと落ちると同時にケタルの中にびゅくびゅくと精液を放つ。
先にイってしまったザザキの熱は子種を吐き出しながらもゆらゆらとケタルの中を味わうように腰が揺らめいていた。熱を吐き出しても形を変えないザザキをじんわりと体内で受け止めながら、ケタルもぶるりと身体を震わせた。
腰を揺らされることで熱い精液がケタルのナカをじわじわと巡る。ペニスが少し引き抜かれる度にぐぽりと音が鳴り、興奮を誘った。
何度かお互い呼吸を繰り返したとき、ザザキはケタルの額に汗で張り付いた前髪を掻き上げる。

「オイ……チビ……、……痛み取れたかよ」
「……え……?あ……そういえば」

ザザキの問いかけに、はたとケタルが己の腹部に意識を向ける。
鈍い痛みは僅かに残るものの、先程まで襲い掛かってきた激痛は徐々に治まり耐えられるほどになっていた。


そもそも、なぜケタルが突然腹部への激痛を伴ったかと言えば、全てはジョウエンに掛けて貰った禁忌の魔法の影響だった。
あの魔法は言わば、体の構造を組み替える錬金術のようなものだった。
ヒトの形をした2個体はそもそも雌雄が決まる前は同じ身体をしている、それが遺伝子から来る信号により男性器と女性器へとパーツを変化させ、その結果雌雄の外見に変化をしていく。
つまり本来、雌のモノになる内臓は雄にもあるし、雄のモノになる内臓は雌にもあるのだ。
それを利用して、前立腺のナカで退化していた、本来雌の子宮として変化を遂げる予定だった通称男性子宮というものを、前立腺から抜き取りその上部に移動させ、体内の細胞を集め肥大化させ擬似的な子宮を作り上げることができた。
さらに子を宿すため必要な卵巣も精巣と同じく、胎児の時に備わっていた性線の仕組みを利用した。
性線と繋がる管は遺伝子の影響による発達と退化により、卵巣になるか精巣になるかが決まる、つまり元々は同じものなのだ。
それを基盤とし、卵巣を新たに作らずとも、精巣を変えずとも、雄として精巣の機能を残したまま卵子を作り上げることにした。
性行為の最中に番の雄から注がれた精子に反応した際、己の子宮に繋がる精管を精子が通ると、卵子に変化する。
だが女性器をそもそも持ち合わせていないため、受精はどうなるのかといえば、性行為は雄同士のそれと同じだった。
違うのは子宮の位置関係から腸内部の前立腺上に、擬似的な子宮の入り口のようなものを作り上げるという、内部構造を大きく組み替えるような、そんな術式の魔法だった。

そのように複雑な内臓を弄くる行為は、恐らく神に反した所業だ。
さらに失敗などすれば術をかけられた者は死ぬ恐れがあったし、内臓を組み替えたとしても実際にその後受精が成功するかと言えば100%ではなかった。
だからこそこの術は未来を担う王のみにしか受け継がれなかったし、対象の同性同士の番には共々にリスクがあることを伝え、それでも希望するのであれば執り行うことにしていた。
そして現在ジョウエン王が鎮座する時代、彼の初めての術の相手が家族も同然に近い、王になる前から馴染みのあるケタルとザザキだった。
二人はとうに番であったが、ここ数年の雌の出生率の低さを気にかけ自ら申し出たのだ。ジョウエンはそこまでしなくてもいいと説得したが、ケタルはそんなジョウエンにただ「別に、子供育てるのもアリかなって思って」と笑い答え、ザザキもまた「コイツがそうしたいなら別に」といった感じであった。
そんなリスクがありながらもケタルがその儀式を受け入れたのは、ジョウエンへの信頼と、ザザキへの愛情、一族への想いがあったからだ。

そして行われた儀式。
ケタルはジョウエンの手によりその魔法を受けた。
事前にどういうことが起きるのかは説明を受けていたものの、想像以上の下腹部を襲う激痛は、痛みに耐えきれない者であればショック死を引き起こすのではないかという程だった。
その儀式を意地で乗り越えたケタルは案の定ぶっ倒れ、自分とザザキの巣へと運ばれ、目覚めてからは突然情事に溺れ、今現在の状態だった。

痛みはしばらく続くものだと思っていたのに、そうして嘘のように痛みが薄れていることを不思議そうに目を丸くしているケタルに、ザザキはほっとしたように安堵の息を吐き出した。

「ジョウエンが……」
「……ジョウエンが?」
「テメーは意識ぶっ飛んでたから聞いてなかっただろーが、アイツが言ってたんだよ。早くテメーの痛みを緩和できる方法」
「……なんだったんだ?」
「番になるオレ様の雄の体液をケタルにぶちこんで、内臓に馴染ませて、雌の疑似本能を目覚めさせるんだとよ」
「……は!?それ、ジョウエンが言ったのか!」
「アイツが言った」

ザザキの説明に、ケタルはぶわっと顔を赤くした。
そういう行為をすることが恥ずかしいわけではないのだが、術を使った本人とはいえジョウエンがそんな説明をコイツにしたことが、なんだか信じられなくて恥ずかしくなった。
ううっ…とケタルか反射的に自分の顔を腕で隠すと、ザザキがその腕を掴んで寝床に押し付け、くはっと笑った。

「ま、そういうことだ。……どーせまだ痛むんだろ、足りてねーだろ」
「ん、な……っ!!あっ……!!」

未だ挿されたままのザザキのペニスがゆらりと前後に動き、ケタルの内部を犯していく。熱を忘れず大きさを保ったままだった男根は、ケタルの無事を確認したからか硬さを増していた。
ケタルはケタルで痛みがほぼ感じられなくなったぶん、より自分の身体が雌の性感に近づいたことで与えられる刺激がいつも以上に感じられることに気づいてしまい、無意識にナカでぎゅうっとザザキを締め付けた。
その反応に気を良くしたザザキは、ニヤニヤと笑いながら嬉しそうに、ケタルの首元に、肩口に、噛み傷やキスの跡をつけていく。その感覚すらもケタルには甘い刺激となり、再び身体に熱を呼び起こされていく。

「あっ、あっンッ……!そこ、ダメだ、や、ああっアッ……!!」

ザザキがペニスを半分まで抜くと、ケタルの腰を掴みながら、わざと浅いところで抜き差しをはじめ亀頭で前立腺を刺激。ぐりぐりと押し付けられる圧迫感にケタルは背中を弓のようにしならせた。
射精をまだしてなかったケタルにとってはそれは気持ち良くも苦しいもので、そこばかり押し付けられて電流のような刺激に目の前に火花が飛び散った。
ガクガクと腰が痙攣して、ケタルは涎を垂らしながらひたすら楽になりたい、と願った。そして耐えきれずケタルが自分のペニスに手を掛けるか掛けないかといったタイミングでビクンと身体が跳ね、同時にケタルの先端からは絶頂に至ったことを示す濃厚な精液を自分の腹に吐き出した。
先端から残りの精液が、つつ…と垂れ、腹との間に糸を引く。
その光景の卑猥さはザザキの欲情を煽るだけでしかなく、存分にケタルを喜ばせた優越感に浸ったザザキは、今度はオレ様を喜ばせろよと言わんばかりに、激しく腰を打ち付けた。

「ンッ、あ、ああああァッ!!やだ、まだ…!!カラ、ダ……あっアアッ!!」
「やだ、じゃねーだろ、気持ちイイうちに、気持ちヨくなるのが、イイんだ、ろ……ッ!!」
「ア、や、はァ、ンッ……あっあぁ、ああッ……!!」

射精と絶頂後の余韻が抜けぬケタルの身体に鞭打つように、ザザキはケタルの太股を掴んで膝が腹につきそうなほど、ぐいっと押して腰を持ち上げさせた。ケタルが辛くないように適当に毛布を丸めケタルの下に入れて身体を支えてから、ザザキはケタルに体重を乗せて己のデカマラをより深くまで突き、抜き差ししながらぐりぐりと奥をかき混ぜた。
その度にケタルの腸奥のS字に届き、奥まで届いた精液がじゅぱじゅぱとS字と絡み卑猥に音をたてているのが聴覚まで届いた。
獣特有の聴覚ゆえケタルにもその音が届いているらしく、抜き差しされているその光景を眼前にして真っ赤にしながら生理的に涙をこぼし、息を荒げさせ、行き場のない手はすがるように、自分の太股掴み押さえているザザキの腕を掴んだ。

「ザザキ、ザザキ、ぃ……!!はぁ、ああ、あ、ン……ッきもち、い……ざざ、き……ッッ」
「そんなに、イイのか、よ……っ!!いつもより腰振りやがって……!!」
「も、むりぃ……っ!また、イキ……そ……!」
「チッ……はえーよ……、待ってろ今、孕むくらい出してやるからよォ!」
「ひっっ!んァッあ、やっああっ、あ、あああアッーー~~ッッ!!」

ザザキが射精感を催したと同時に、一度引き抜くと一気にばちゅんっ!とペニスを根本まで全部、ケタルのナカに押し付けた。その瞬間犬族特有の亀頭球が根本で膨らみ、後孔からペニスが抜けないように固定されて、ザザキはそのままケタルの内部に熱をびゅくびゅくと吐き出した。
ナカに注がれる精液の熱さと量が、ケタルの腸内を満たしていき、下腹部に感じてくる圧迫感を味わいながらびくびくと腰を痙攣させ、無意識に後孔をきゅうっと締め付ける。
ザザキはそれに応えるように、吐くだけでは留まらず腰を少し揺らしてペニスをぐりぐりと内壁やS字に押し付けてやれば、知らずにドライで達していたのか、ケタルはオーガズムに溺れ甘い声を漏らしながら意識を手放した。






それが、意識を手放す前の出来事。

「ったく……どんだけ出したんだよ、流れてくる……」
「ああ?テメーを孕ませんならそれぐらい必要だろ」

ケタルの横で寝転がっていたザザキは、目の前に座るケタルの腰に腕を回し、尾の付け根に優しく噛み付きながら舌を這わせ、唇で咥えながらぐぐっと尾の先端に向かうように唇を動かした。
脊髄と繋がる尾を唇で愛撫され、ビクンと反射でケタルが背を伸ばしたのを見て、ザザキは満足げに尾の先端にそのままキスをする。

「どーせまだ足りてねーんだろ」
「……どっちがだよ」

お互い様だということは嫌でもわかった、しかしザザキの言うとおりケタルの身体は熱を失うことがなく、更に言えばこれだけの精液を受け止めたにも関わらず、精液の成分の影響から来る鈍痛のような身体を襲う痛みを感じられなかったのだ。
自分の身体の具合は自分でよくわかる、ジョウエンの術は成功したのだと確信が出来た。そしてなにより、術後の慣れぬ性欲に溺れている己の身体がまるで正直すぎて、自分で笑ってしまうほどだった。
ケタルは寝転ぶザザキの前髪をさらりと撫でたあと掻き上げて、眉間にキスを落とす。

「まだ……俺の中が痛むんだ、だからもっとオマエので誤魔化させろ」
「上等だ、足腰立てなくしてやる」

そして噛み付くようにザザキがケタルの唇にキスをして、応えるようにケタルが自ら唇を割り番の舌を受け入れる。
互いの舌が絡みあったのを合図に、ザザキはケタル腕を掴み引き寄せて、指をしっかりと絡めさせながら再び床へと組み敷いた。





番の使命

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